最終スタン環境-Standard update-
2014年7月25日 スタンダードいまいち盛り上がりに欠けている最終環境ですが、
お題を絞ってやると面白いですね!←
ども、Nicolです。
最終環境なのにパッとしない事の1つに、
トップメタの存在があると思います。
信心というアーキタイプが新規カードの参入を妨げているので、
強いデッキにあまり新しいカードが入らない=プレイする意欲が湧かない
という事のようです。
それでもしかし、
草の根プレイヤーは雨にも落雷にも負けず、
新たなるローグデッキの開拓に心血を注いでいるわけで、
今日はそういったローグを作る為に必要な、
メタゲームのおさらいをしてみる事にしました。
1つ。
まず、この環境ではいくつかの「信心」デッキが存在しています。
信心とはパーマネントのマナシンボルを参照にしたキーワード能力で、
古くはシャドウムーア付近の尊原初から構想が始まったシステムです。
一般的に青単信心、黒単信心、赤単信心が有名ですね。
これらは同じ信心でも、全て違うタイプのデッキに分類分けが出来ます。
青単信心は航空戦力を絡めた、「速攻ビート」
黒単信心は除去が多めの「除去コントロール」
赤単信心はニクソスの爆発力に期待する「中速ミッドレンジ」
という風に、どれも違う攻め筋を持っています。
最近マジックを始めた方に質問されたのですが、
「ビート、コントロール、ミッドレンジの違いは?」
と聞かれたのでここで補足しておきます。
ビートダウンとは、クリーチャー主体のデッキで、
基本的に初期ターン付近から低コストの生物を展開するデッキです。
コントロールはその初期ターンに除去やカウンターを構え、
制圧力の高い高マナコストの呪文で勝負を決めにかかるデッキです。
そしてミッドレンジとは、その折衷であり、
PWが繁茂する現在のスタンダードでは、もっとも多いアーキタイプと言えます。
では再びメタゲームの話に戻ります。
現状でTier1と呼ばれているデッキは、
黒単信心、青単信心、エスパーコントロール、そしてバーンです。
それに続いて
セレズニア、グルール、ジャンドコントロール、赤単信心などが結果を出しています。
そしてそれ以外は須らく「ローグ」という分類にされ、
つまり信心を持たないデッキの殆どがローグ扱いされているわけです。
先ほど述べました通り、
信心デッキは全て違うアーキタイプですので、実際に分けるとこうなります。
コントロール=黒単・ESP・ジャンド
ビート=青単・セレズニア
ミッドレンジ=グルール・赤単
その他=バーン(生物の数にもよりますが、基本的にどのタイプも存在するので)
環境の最初から最後まで多く勝っているのが、
青単信心と黒単信心です。
この双璧は互いを常に意識していますが、
《群れネズミ/Pack Rat》の関係で、黒単が基本的には青単に有利です。
この2つは全てのデッキに対して同じ戦い方をするので、
多少のマイナーチェンジがあっても、入賞するリストは殆ど鉄板のカードしか積みません。
特に青単はこれ以上ないほどにメインが完成されているので、
殆ど新規カードの参入も無く、長い間不動の地位を保ってきました。
一方、黒単側はメタゲームに合わせて多少の変化を持って今日までプレイされています。
大きな特徴は、3マナ域の選択です。
《夜帷の死霊/Nightveil Specter》と《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》は、
メタゲームに合わせて毎度入れ替えられてきました。
また、青単とは違って、
t白やt緑の派生形も多いのが特徴です。
白は同型に強く、緑はコントロールに対してメインから使用可能な除去を積んでいる、
という点があります。
さて、この2つが最終環境で何を得たのか見てみましょう。
まず青単にぱっと入りそうなのは
・虚空の罠
・霜のオオヤマネコ
・地割れ潜み
・ギルドパクトの代言者、ジェイス
この辺りですね。
順を追って説明しますと、
虚空の罠は新たなる除去です。
メインから採用でき、コントロール相手にも腐りません。
《急速混成/Rapid Hybridization》ほどの奇襲性はありませんが、
従来と同じ戦い方で青単に挑むと、
この呪文にテンポを持って行かれる可能性が高いです。
かつては鉄板だった《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》や
《冒涜の悪魔/Desecration Demon》でさえ、《送還/Unsummon》呪文には弱いのです。
同じ能力を持つジェイスも当然強く、
初期忠誠値やその使用方法についても、
ビートダウンに対しての性能は明らかにかつてのジェイスより上です。
また対コントロールにおいてこのカードの奥義は相当のプレッシャーがありますので、
巷の評価よりも青単信心においては強力なカードと言えます。
霜のオオヤマネコに関しては、
コーの鉤の達人を覚えている方にとっては、いいカードだと言えます。
一方で、信心が低いので採用自体は危ぶまれる事も多いです。
しかしよく見てください。
こいつは「エレメンタル」なのです!
なんと《波使い/Master of Waves》でパワーアップします!
とまぁ、そこはあくまで付随効果なのですが、
実際には黒単に対して強力なカードになり得ます。
黒単は相手のカードを除去でいなして悪魔やネズミでゲームを決めるのが常ですが、
もし仮に相手が生物でのみキープした場合、
特に悪魔頼みで反撃を開始したい場合に、このカードは劇的に刺さります。
1度に実質3ターンも稼ぐ霜ネコに対して、悪魔はあまりに無力です。
テンポ・生物(信心)を同時に稼げるので、試す価値はあるでしょう。
地割れ潜みは出た当初から多少の値段がついているカードですが、
このカードはサイドボードにおいて優秀です。
青単信心が最も嫌う相手は、
黒単やESPといった全体ないし強力な単体除去を持つデッキでしたが、
オオヤマネコが効かないマッチアップにおいて、
もっとも効率的に働くのがこのイカです。
当然これは除去の的になるのですが、
少なくとも以前は一切除去耐性を持たなかった青単に、
ターンを回すと除去し辛くなる生物が入ったのは僥倖です。
同じくサイドに積まれる事が多い《タッサの二叉槍/Bident of Thassa》との
相性がいい所も注目ですね。
このように変化が無かった青単にも選択肢が与えられましたが、
さて、黒単はどうでしょうか。
黒単に入りそうなカードは
・《血の署名/Sign in Blood》
・潰瘍化
・アーボーグ
・リリアナ、ヴェス
ですね。
とても少ないです。
しかし大きな変化をもたらします。
《血の署名/Sign in Blood》は軽コストのドローソースで、
除去を構えるしかなかった序盤にも撃ってドローを進められます。
パックラットの餌を補充するにも便利ですし、
対戦相手の残り2点ライフを削る事も出来ます。
ヨーグモスの墳墓、アーボーグは、
《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》や
《変わり谷/Mutavault》から黒マナが出るようにしてくれるカードで、
このカードが入った事で、
メイン3マナ域は《夜帷の死霊/Nightveil Specter》が鉄板になりました。
潰瘍化は評価が分かれる所で、
新カードを軒並み採用すると、ライフがとても足りない、という事態に陥るので、
このカードの採用は見送られる事が多いです。
ただ、今後コントロールや一部のデッキが使うには便利な除去なので、
徐々に環境に浸透するかも知れません。
ライフを失う事で誘発する能力があればまた利便性が増しますね。
リリアナは以前刷られた黒のPWであり、
ゆっくりとしかし確実に、相手にディスアドバンテージを与えます。
チューター能力で持ってきたカードは、
《地下世界の人脈/Underworld Connections》ですぐに手に入れられますね。
このように、2大信心デッキには新たな攻め筋が加わりました。
ではこの事で環境全体では何が起きるのでしょうか?
新カードの参入状況と共にまとめようと思います。
・土地の参入
黒単にアーボーグが加わったように、
対抗色のダメージランドによって、派生デッキやローグは組みやすくなりました。
12枚の2色ランドを使ったローグが今後増えるでしょう。
(約2,3週間ですが)
・新生物の参入
静翼のグリフや起源のハイドラといった、
信心デッキに対抗し得る(または新たな信心デッキを作り得る)
カードが今回は印刷されました。
グリフは信心で誘発する能力を持つカードを抑え込めますし、
ハイドラはニッサと組んでトンデモナイ化け物を連れてくる可能性があります。
・新PWの参入
ニッサ、ジェイス、リリアナ、アジャニ、ガラクと、
今回は赤以外の全てのPWが刷新されました。
これらはどれも型にはまると強いPWであり、
巷の評価など気にせず使い倒すにふさわしいカードとなっています。
もちろんニッサが人気なのはわかりますが、
他のPWも確実に使いどころがあるでしょう。
(私はPWに対して大抵いつもこういう評価です←)
よってより変わっていくメタゲームとしては、
・青単と黒単の双璧がけん引する
・対抗株として、セレズニアやグルールが有力である
・バーンはセレズニア及びその派生に不動のアジャニが入る事で
セレズニア相手には更に不利になる
・ESPは新カードの採用で後塵を拝するので、
従来の形だと霊気渦竜巻が有効な相手には強く、
そうでない相手には苦戦を強いられる
・バーンとESPは戦術調整が課題である
ローグデッキの中では、
月夜優勝の赤白トークンや、白黒人間がいい味を出していました。
どちらのデッキにも共通している項目があったので、
今後その項目を踏まえたデッキが環境で活躍する可能性が高そうです。
それでは、また次回!
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