009 RE:CYBORG-009-
2014年8月14日 映画「終わらせなければ、始まらない」
まるで人生における諫言のような標語ですね!
という印象だった009。
そうです、今回も映画レビューならぬ映画感想です。
Nicolは週末以外マジックしません。
―あらすじ
サイボーグ達がなんやかんやで地球を救う。
今回の009は、
かつて石ノ森章太郎が作った幻の最終回を、
攻殻機動隊SACアニメシリーズで有名な
神山監督が練り直したもの。
世界中で「彼の声」なる声を聞いた人間が、
次々と自爆テロを起こす中、
かつて00(ゼロゼロ)シリーズとして戦っていた
サイボーグ達は、
この未曾有の危機に立ち向かう、というストーリー。
リメイクなのはいいんですが、
個人的に結構残念だった点が多かった作品でした。
それでは気になった点を挙げていきます。
☆1、グレート・ブリテンとピュンマの活躍がほぼゼロ
ピュンマさんは特殊能力が「深海活動」なので、
漫画やアニメでも機転の良さや勘の鋭さの部分が取り上げられていましたが、
神山監督はなんと、彼の能力を一度も描く事なく、
フェイズアウトさせてしまいました。
冒頭出て来た後はエンディングまで出番無し。
ヒドスギル・・・。
ブリテンは002のジェットとそれっぽい会話をしたり、
追いかけてきた諜報員を得意の変身能力で巻いたりと、
結構出番自体はあったのですが、
その後ゴミ収集車に轢かれてフェイズアウト。
他の人達が軒並み戦闘スキルが高いとはいえ、
この2人のアッサリ退場扱いがとても残念でした。
「サイボーグ」としての彼らを描く為に、
派手な絵が必要だったとはいえ、対比として存在してもいいのに。
ピュンマさんが不憫でした。
☆2、フランソワーズが無駄にエロい
色気は必要です。
でもそっちじゃない感。
島村ジョーが幻影少女とエロい事したら流石に見るのを止めるぞ!
と憤りそうなくらい必要のないエロでした。
どこに媚びたんだろう、ハリウッドかな?
師匠の押井監督は攻殻で
素子の全裸を出したので、それにあやかったのかな。
☆3、微妙なデフォルメ
ジェットは鼻が長い所が良かったし、
チャンチャンコは目がヘソみたいなのが良かったし、
ブリテンは三枚目なのが良かったのに、
ただのイケメンとよくわからんキャラとハゲイケメンになっていました。
差別化が均一化によって無くなり、
「誰だコイツ」
と思える部分が多々ありました。
ジェットがジョーにジェラシーを抱く理由。
それが上手く伝わってきません。
あのでかっぱなスナフキンみたいな雰囲気が良かったのに。
☆4、既視感
サイボーグ達を「無用の長物」化しようとする、
アメリカの下部組織やドイツの軍隊など、
人間がサイボーグに抱く嫌悪感と軋轢を描こうとしていたんでしょうが、
その表現方法が端的にいうと下手でした。
物語中終盤、米軍はジェットをテロの実行犯に仕立て上げ、
内部から排除しようとしますが、
普通に彼が人間だったとしても、その展開は違和感しかありません。
なぜなら理由が無いからです。
長い間自国の組織で働かせてきた
「ヒトのようなもの」扱いのジェットを斬り捨てたとしても、
それでアメリカが内外から批判を受けないわけではなく、
むしろ制御出来ていなかった状況を更に訴追されるだけです。
人間の無力さを描くにしても、やっぱりおかしいですね。
そもそも009は「ヒト」が持つ可能性の部分を、
ブラックゴーストが捻じ曲げてしまった所に端を発しているのに、
神山009ではそもそもヒトは愚かで神にコントロールされているのよー、
みたいな主張ばかりが目につきます。
テロの実態をわかってないのにテロや戦争を組み込んだ結果でしょうか。
原作の方でも、ピュンマの地元での内戦エピソードがありますが、
あちらは規模が一地域の問題に限定されているので、
違和感を抱かせない題材だったのだと思います。
とはいえ、セカイ系の話に矛盾が生じるのは多々ある話ですね。
☆5、それでも00シリーズはカッコイイ
ブラックゴースト壊滅後のハナシなので、
敵もサイボーグだったりで基本的に映像はスタイリッシュ。
あえて存在をボカした「彼の声」含め、
敵が敵として存在しない世界なので、
一番の見せ場は研究所防衛の戦闘シーンという事になります。
ギルモア博士もトニースタークもそうですが、
作るモノは一級品なのに、研究所の防衛はかなりおざなりです。
アルベルト、チャンチャンコ、ジェロニモが活躍します。
特にジェロニモは何時の間にそんな能力身に着けたんだ?
ってくらい活躍します。
人間時代から自然の「気」を読み取る能力ありましたけど。
☆6、結局「彼の声」ってなんだったの?
人間だけが内在的に持つ、
破滅喚起要素かつ暴走抑制因子、みたいなナニカ。
「神」と呼んでも「天使」と呼んでもよい存在で、
サイボーグの中では
ブリテン、ピュンマ、ジェット、ジョーがその声を聞きました。
声が聞こえると
金髪碧眼の美少女が現れるんですが、
ジョーの場合のみ、それは同じ年頃の黒髪美少女でした。
ソレがジョーを思い留まらせ、
同時に声からの束縛を解除する要素でもありました。
まぁちょっとよくわかんないですね。
基本的に、羽の生えた人間の化石のくだり含め、
実物的な「カミ」と概念的な「神」の差は上手く描かれています。
作品観終わって考えても、
彼の声自体が物語に及ぼした影響は大きいけど、
その正体に大した意味はないように思えるので、
謎の金髪碧眼美少女でいいと思います。
文句が多い感想文になってしまいましたが、
この作品を見るなら009の後日譚としてではなく、
神山監督が009作るとこうなりますよ、程度の期待で見る事をお勧めします。
ではまた次回。
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