ニムゲームと私-Silence the Believers-


「ダイス大きい方でいいですか?」
これは、競技レベルの大会でも良く聞かれる言葉です。
当然、この日本語には
(振った ダイス (の出目合計値 が大きい方で
というニュアンスが含まれており、
まさかここで揚げ足を取るなんて奴は普通いません。

ですから私はたまにブラックジョークを言います。
「じゃあちょっと大きいやつ探してきますねw」

私の先輩に、
言葉のアヤを非常に気にする人がいて、
その人はとある競技のプロ選手です。
その人とマジックをしていた時に
「俺が20面ダイス取り出したらどうするんだ?」
と割と真面目な顔で言われた事があります。

一見わからないが、実際は他方が不利なゲーム。
これをニムゲームと呼びます。
有名なのはビールジョッキとワンショットの話です。
知らない方に言っておくと、
10のビールジョッキとアルコールグラスのワンショット、
その飲みの速さ比べをしようという賭けで、
ルールはたった一つだけ。
「相手の容器に触ってはいけない」
普通はテキーラやウォッカを選んだ方が勝ちます。
しかしビール側はこう持ちかけるのです。
「このままではあまりに不利だ。
せめて一杯だけ飲ませてくれ」
この条件を呑んだ瞬間、アルコール側の負けが確定します。

なぜ、アルコール側が負けるのかは聡い皆様ならご存知でしょう。
それと同じくらい、
「ダイスの大きい方でいいですか?」
という言葉は危険性を孕んでいる。
彼はそう言いたかったのでしょう。

でも。まさか。
そのレベルのニムを仕掛けてくる人間がmtgプレイヤーに居るとは思えません。
競技レベルになればなるほどです。
言った言わない、こういうつもりじゃなかった、のエラーこそあれ、
明らかに悪意を持って遊んでいる奴なんて、普通はいません。
これはゲームですから、堂々と遊んでこそ面白いのです。
私はそう思います。
ニムを仕掛ける時点で、その人はそのゲームを楽しむのではなく、
「勝つこと」それ1つに支配されていると言っても過言ではありません。
その人は自分さえ良ければいいのです。

願わくば、「正々堂々と勝つ事」を目標にしていきたいものです。
そこに高潔さは要りません。勝つ事は高潔ではないからです。
それでも、プレイヤーの倫理観は偏らないで欲しいものです。
もしこれを読んでいるあなたが、
ルールなんてどうでもいいから勝てばいいんだ、
と思っているなら、
あなたはいつか、自分より遥か上のイカサマ師に嵌められるでしょう。
それか、自分自身で身の破滅を招くでしょう。
物事にルールがあるのは、
ルールそれ自体があなた自身を守るからです。
ルールを守れない人が罰されるのはまた、ルールが適用されているからです。
ではルールに守られているのに、ルールを無視する人はどうなるのでしょうか?
あまり知りたくない結果を迎えますね。
これはあらゆる物事に通じる理念です。
ルールに守られている人間が、ルールを破っちゃいけない。
私はそう思います。


珍しくらしくない事を書きました。
以前も似たような事を書いたのですが、
あれは確か身近でイカサマがあった時だったように思います。
私は基本的に
・正しい事
より
・怪しい事
の方が好きな人間なので、
普段もルールを他者に強要する事はしません。
普通そうですよね。
だから普段は適当でいいんじゃないかなぁ、目くじら立てずに。
でも競技は真面目にやりましょうや、って話です。
本番で切り替えられるならそれでいいと思いますよ。
(そうでない人は普段から真面目にしとこ!)
それでもって、この文をわざわざ読んでくれた方に感謝。
私あんまり物事を難しく捉えたりしないんで、
こういうの慣れてないんですけども。
むずかしいですね。
それじゃ、また次回。

P.S.
ゲームも人生も、決められた範囲で出来る事を試すから面白いんだ

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