>T0
Nicolです。
関東はどんどん肌寒くなっていきます。
毎朝布団から一歩も外に出たくないです。
>T1
さて、メタゲームの話をします。
今現在スタンダードには
5氏族+4ギルドの色合いのデッキが存在していて、
同じ氏族でもコントロール型、アサルト型、リアニ型などが混在しています。
ではどうしてそういった環境になるのか?
という点を突き詰めて考えたいと思います。
・パワーカードの存在
テーロスのパワーカードは単色が多く、
タルキールのカードパワーカードは多色が多いです。
タルキールベースのカード群を使ってデッキを作れば、
当然デッキのカラーリングも多色になります。
そしてテーロスのカードはそれらのサポート、
もしくはキーパーツとして働きを見せています。
・土地のバランス
多色カードがあるという事は、それを唱えられるマナベースがあるという事です。
現在はテーロスの占術ランドに続き、
M15のダメージランド、KTKのフェッチ・クランランドがある為
多色ベースの構築は容易です。
上記2点の観点から、
現在のマナベースからは多色のパワーカードを含むデッキを
滞りなく使えるので、多数の氏族デッキが繁茂しているようです。
>T2
どれが一番強いの?
この質問がこの環境の多様性を現しています。
というのも、今までならその答えは非常にわかりやすかったからです。
今の答えはこうです。
アブザンもしくはマルドゥ。
これらに対して強いデッキにそれぞれ緑黒星座とジェスカイテンポが居ますが、
その有無に関わらず、強いという点ではこの2つです。
どこが強いの?
こっちの質問の方がしっくり来るかも知れません。
そもそもどれが一番強いか、という問いは一義的ではないので。
今はユーザーの環境理解が進み、カードの選定が細に入って来た所です。
《包囲サイ/Siege Rhino》と《軍族の解体者/Butcher of the Horde》の
強さにどのユーザーも気づいたわけですね。
以前の日記でも書きましたが、
強いカードの定義は、
1・1枚で2枚分の働きをするカード(eg.ETB能力持ち、除去耐性、速攻飛行の有無
2・倒されなければ場を制圧するカード(eg..除去能力持ち、仲間を連れてくる、PTが高い
3・1枚で1枚に対応できるカード(eg.カウンター、ハンデス、ピン除去
この3点のいずれかを満たしているカードです。
マジックの歴史を紐解いてもこれらいずれかを満たしているカードで、
デッキは構築されています。
サイは定義1を満たし、サイズ能力も申し分ありません。
解体者も定義2を満たし、たった4回の攻撃で相手を沈めます。
こういった強いカードの周りを固めるのもいずれかの条件を満たすカードで、
基本的にマルドゥとアブザンはその点で一切の不純物が入る事なく構築出来ます。
>T3
本当の話をしましょう。
マジックは恐ろしく簡単なロジックのパズルだ、
という風に考えるやり方があります。
環境の当初にその考えを採用したのがJeskai Wins/ジェスカイテンポでした。
これはデッキを見ればわかりますね。
2-3に3点、3-4に4点の火力が入っていて、
これらを組み合わせて相手のライフを0にするわけです。
では他のデッキはそうではないのか?
違いますよね。他のデッキも同じです。
わかりにくいシディシウィップでも
「相手のライフを0にする」という目的が同じである以上、
必ず同じ計算式の道の上を歩いているわけです。
現在その式のトップを走っているのは
ジェスカイ英雄と隆盛らせんコンボです。
しかし現実にはこれらは「最速」として捉えられていません。
それがマジックのゲーム性をかろうじて保たせている部分です。
このゲームは相手への妨害が許可されています。
その部分を計算すると、相対的な速度、というものがゲーム上に現れます。
この相対的な速度とは、
感覚的に言えば先に挙げたアブザンやマルドゥが持つ速度の事です。
対戦相手を妨害しながら、こちらのクロックを唱えて勝つ事です。
なんだ、単純じゃないか、と思われる方も多いですが、
マジックを感覚的にプレイしているとその事自体に気づかない事が多いです。
実際ほとんどのプレイヤーが
シディシデッキよりサイデッキを優先している事がその証拠です。
先ほどの式で見比べれば、どう考えてもサイよりシディシの方が速いのに。
5/5 7/7と増加するクロックに対して、サイは4/5のままなのですよ。
おや、それは矛盾している?除去があるといったばかりでは?
私が言いたいのはまさにこの点なのです。
シディシとサイを見比べれば、
如何に自分達が考えずにカードを選んでいたかわかるはずです。
多くのユーザーは、この事を忘れます。もしくは知りもしません。
単純な速度と相対的な速度を勘違いします。
そしてより一層簡単な道
「どれが一番強いデッキだろう?」
という事にばかり頭を巡らせます。
要するに、簡単に勝ちたいのです。
しかし実際に簡単に勝ちたいのなら、
1つのカラーでの最速パターンを押さえておくべきです。
なまじカードが多いので「どれでも使える」と人は考えますが、
実際にそのカードを使えている人はどれほどいるでしょうか?
私はプレイしている事と使役している事が同義だとは決して思えません。
あらゆる事柄でそうであるように、
仕組みを理解してものを使う事と、
ただ与えられたボタンを押すだけの事は同じではないのです。
2点クロックを3ターン目から刻むカード一つでさえ、
思考を放棄したプレイヤーには使いこなす事かないません。
《急報/Raise the Alarm》と《道の探求者/Seeker of the Way》は
どちらがより多くのクロックを刻めるのだろうか?
という事について突き詰めると、
《ヘリオッドの槍/Spear of Heliod》を唱えた時と
《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy》を唱えた時の速度の違いに
目を向けた上で、
対戦相手の《森の女人像/Sylvan Caryatid》であったり
《胆汁病/Bile Blight》の存在に頭を悩ませたりしなければいけません。
かつてChannel Fireballチームが《鍛えられた鋼/Tempered Steel》デッキを使い、
彌永選手が《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》デッキを
持ち込んだ経緯を見るといいでしょう。
彼らがどのようなスタンスでマジックにおいて「勝とう」としていたのかわかります。
最速と最強を安定感を持って掴めるように、どちらも注力していました。
そしてそれがマジックの楽しい所です。
感覚的に遊んで行き詰ったなら、
一度コントローラーから手を放して、
パッケージの裏や説明書を読んでみてください。
答えを見つけるヒントはそこにあるし、
あなたはいつかそこに辿り着くはずです。
それでは、また次回。
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