>花粉の季節です
鼻炎とのダブルパンチ。
Nicolです。

THS-M15-FRF環境も後少し。
僅か1月ばかりで次の環境に突入するわけですが、
さて、今シーズンはどんなデッキが躍進したのかをおさらいします。

★1 赤白アグロ
★2 アブザンアグロ
★3 青黒コントロール
まずはこの3つから行きましょう。

赤白アグロは、明確に強化されましたね。
なんといっても《乱撃斬/Wild Slash》、
そして《勇敢な姿勢/Valorous Stance》と2枚の強力な呪文を得ました。
除去にも使える搦め手は赤白が最も欲しかったタイプの呪文であり、
この軽量呪文が使えるので、
他のデッキよりも1段飛躍して強化されたといっていいでしょう。
フィニッシャーは前環境に加えて
《魂火の大導師/Soulfire Grand Master》が追加されました。
生き残り続ければほぼ《エレボスの鞭/Whip of Erebos》
のようなライフ差を付けられるこのカードは、
除去さえされなければ一定のポテンシャルを保ちます。
《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》からの
《かき立てる炎/Stoke the Flames》バイバックはよく見るコンボですね。
また除去、フィニッシャーだけでなく中盤以降を支える
《前哨地の包囲/Outpost Siege》をメイン採用出来る事も、
このデッキが強い所以です。
先日都内新宿で行われたPWCC優勝者ナカミチさんも、
このアーキタイプでSEを駆け抜けました。

アブザンアグロは特別に新しいカードが加わったわけではありません。
が、よりコントロールシフト出来るカードである
《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang》や
《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》が入った事により、
以前よりもコントロールプランを立てやすくなりました。
従って、前環境の最後に見られた《アブザンの隆盛/Abzan Ascendancy》
入りのアグレッシブ戦略よりは、
王道の2-4マナ域に加えて多くの《風番いのロック/Wingmate Roc》
を入れた中庸型、
それらを捌ける《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》
入りのコントロール型が数を増やしたように思います。
また、青黒コントロールを倒す為に
サイドに《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》が
多数採られるようになったのも今期の特徴です。

青黒コントロールが得たカードと言えば、
《命運の核心/Crux of Fate》という全体除去と
《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》という
新しい軸のフィニッシャーです。
前者は今までに出来なかった1:2交換をとれるカードであり、
後者はPWや置物ごと盤面を一掃出来る強力PWです。
それぞれを加えた事により、
却って以前よりも重いカードが増えた印象ですが、
もともとのフィニッシャーである
《真珠湖の古きもの/Pearl Lake Ancient》も7マナと重かったので、
ゲームを傾ける力のあるパワーカードが増えた事は追い風でした。

これらを仮のTier1と位置付けて、次からはそこに続くデッキ群を見て行きます。
★4 ジェスカイテンポ
★5 緑信心
★6 グルールモンスターズ
★7 シディシウィップ
★8 青白英雄

アブザンアグロや青黒コントロールを巷間で言われている「フェアデッキ
とみなすならば、これらのデッキの多くは
「アンフェアデッキ
と称されるべきデッキです。
全てのデッキには固有の常勝パターンがあり、
それらのカードを穴埋めする枠のカードを採っているデッキと、
全て同じ方向に持って行くカードを採っているデッキの2種類に大別されます。

ジェスカイテンポは赤白に加えて
《カマキリの乗り手/Mantis Rider》
《時を越えた探索/Dig Through Time》
といった青い部分をタッチした理由となるカードが入っています。
またサイドボードに《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》などカウンターを
積む事が出来るので、多くのデッキに対してより対応力があると言えるでしょう。
このデッキは赤白と同じ理由―包囲サイへの回答―
を手に入れた事により使用者を増やしました。

緑信心はアブザンに対するアンフェアの先鋒として、
長くその名をメタゲーム上に残しており、
タッチカラーも青、黒、赤と多岐に渡ります。
共通する事項は、
マナクリーチャーから発射される
《女王スズメバチ/Hornet Queen》と
《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》による制圧射撃です。
また《ティムールの隆盛/Temur Ascendancy》を使った
コンボデッキも注目を集めており、
メタの一角を担っています。

同じくマナ加速から大型生物を展開するデッキとして、
グルールモンスターズが存在しています。
《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》が入ったアグロ型と、
《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》が入った怪物型、
その両方が入った折衷型が入り乱れていますが、
マナ加速からより強力な生物を展開する試合運びは、
どのデッキも共通して持っているパターンの1つです。
関東で有名なスタンダードの貴族ことAKKAさんも
長らくこのアーキタイプを使っており、
そのデッキパワーと安定性は確かなものだと思われます。

これら2つの緑軸のデッキは、
《囁きの森の精霊/Whisperwood Elemental》という
大きなパワーカードをも取り込みました。
基本的に4枚積まれるこのカードは、
加速系デッキの終着駅として、非常に安定したパフォーマンスを誇ります。
非生物との相性が若干悪いものの、
構築を呪文寄りにさえしなければ、
毎ターン常に2/2以上の生物を確約してくれる大型生物は
非常に強力だと言えるでしょう。


シディシウィップは前環境で世界選手権でプロプレイヤーが使った事により
一躍注目を浴びましたが、現在の使用者は減少傾向にあるようです。
しかしながら、《エレボスの鞭/Whip of Erebos》が
出た試合のアンフェアぶりは凄まじく、
紹介したどのデッキよりも息が長く戦えるように構築されたデッキです。
特に個人的な構築の軸として編み込んだ
《無慈悲な処刑人/Merciless Executioner》
《賢いなりすまし/Clever Impersonator》
《奔流の精霊/Torrent Elemental》
《漂う死、シルムガル/Silumgar, the Drifting Death》
といった新カード群が入ったタイプは、
アブザンやジェスカイに対して理不尽なまでの優位を保つ事が出来ます。

そして青白英雄は、
これらのデッキとは更に違う軸でゲームを作るデッキです。
一見するとただのオーラデッキに見えますが
個々のカードポテンシャルが高いアブザンに対して、
こちらは各個間のシナジーを重視し
ブン回った時の理不尽なまでの巨大生物が売りです。
環境で唯一といっていいほど
相手デッキへの干渉をしないデッキですが、
その分自己強化と除去回避に関しては
他の追随を許さない量のカードを採っています。


逆に躍進が見られなかったデッキはというと、
以下の通りになります。

●1 赤単アグロ
●2 マルドゥミッドレンジ
●3 緑黒星座
●4 ジェスカイ隆盛 コンボ/トークン

赤単に関して、使った経験としては
《包囲サイ/Siege Rhino》への回答の少なさが問題です。
アブザン系のデッキが増えた関係でこの対応力の無さがネックとなり、
更に他のデッキが赤白テンポをメタった為に
同じ種類以下のカードしか取れないこのデッキは非常に追い込まれました。
ただ新カードの《マルドゥの斥候/Mardu Scout》は
疾駆能力の強さを示すいいカードとなっており、
同じく疾駆を持つ《嵐の憤怒、コラガン/Kolaghan, the Storm’s Fury》
などが次の環境で活躍するのではないか、と個人的に見ています。

マルドゥミッドレンジが成果を挙げられなかったのは、
前環境に引き続いて存在している「構築の幅の広さ」問題があると思います。
個々のカード間連携を無視すると
赤白アグロ、アブザンアグロといったデッキに
2マナ、3マナ域生物の弱さで一段劣り、
除去デッキとしては
ジェスカイ、アブザンミッドレンジ、青黒コンに
アドバンテージ面で負けてしまっています。
環境で強力カードが多い以上、手札を拡充する
DTT、タシグルなどが使えるのと使えないのとでは大きな差がありますね。

緑黒星座は海外だとBrad Nelsonが使用していたものの、、
ほとんど関東のトーナメントからは姿を消しています。
理由として、緑信心のユーザーの少なさに加えて
《自然に帰れ/Back to Nature》が
アブザンとグルールなどの緑系デッキに積まれている事が関係しているようです。

ジェスカイ隆盛の場合は単純に構築枠に限界があり、
トークンは《胆汁病/Bile Blight》の流布、
コンボは新カードを獲得できなかった事が
使用者を減らした理由の一因だと考えられます。

また新たな勢力として2つのアーキタイプが加わりました。

★9 スゥルタイPWC
★10 ティムールアグロ

スゥルタイPWCは
《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》を加えたPWを、
青黒緑の呪文で盤面を繋いで唱えるデッキです。
単純なパワーカードを多く持っているので、
少しでも引き淀んだり事故った相手ならば
簡単に制圧する事の出来るコントロールです。
青黒コンよりも多くのPWを採っているので、
ゲームを決める速さだけで言えばこちらに分があるでしょう。
また盤面に触れるカードとして、青黒には無い
《スゥルタイの魔除け/Sultai Charm》を持っているのが特徴です。

ティムールアグロは赤緑アグロから派生したデッキで、
《霜歩き/Frost Walker》と
《凶暴な拳刃/Savage Knuckleblade》、
《大いなる狩りの巫師/Shaman of the Great Hunt》を加えた
獰猛持ちの生物達で速やかなゲームフィニッシュを狙います。
色マナがタイトな呪文が多いので土地の配分が大事になるデッキですが、
一度ぶん回ると赤緑以上にどうしようも無い、
ワンサイドゲームを展開出来るのが強みです。


皆さんが使っているデッキはこの中にありましたか?
私はほぼ全てを公式トーナメントで使ってみましたが、
どのデッキもパワフルで、
とても楽しかったです。

これら全てを
殊更PPTQなどのトーナメントシーンに持ち込むとなると話は別ですが、
私が出た大会では

アグロ:赤白、アブザン、ジェスカイ
アンフェア:グルール、信心、英雄
コントロール:青黒

が多く居たように思います。
やはり上位には必ずアグロ2種が居ましたね。

次環境も楽しみです。
それじゃ、また次回。

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